autodao (daophot自動測光パッケージ)

IRAFのdaophotパッケージを用いて、自動で測光を行うスクリプト群を 作成しました。ある画像に対して、PSFを作成し、天体を検出して、 PSFフィッティング測光を行う作業を半自動的に行えるようにします。 PSFに使う星のチェックなどを厳しく行う必要がない場合や、 どの星をPSF作成に使うかすでにわかっていれば、全体を自動的に解析 することが可能でしょう(ただし、画像のシーイングサイズ等は 別に求めておく必要があります)。

目次

松永典之

更新情報


autodaoによる測光の概要

まず、autodaoによる測光の手順をおおまかに説明します。 autodaoは主に以下の9個のclスクリプトから成り立っています。

  1. apset.cl
  2. aselect.cl
  3. apstck.cl
  4. apstmax.cl
  5. apsf.cl
  6. adetect.cl
  7. aphot.cl
  8. aapcorr.cl
  9. autoseq.cl

まず、apset.clはdaophotのパラメータ群 (6つのpset)を設定します。 これは各画像によって変わると考えられるFWHM、バックグラウンドや それらに関連したパラメータを自動で設定するためのスクリプトです。 6つのpset (findpars, datapars, centerpars, fitskypars, photpars, daopars) に含まれるパラメータのうち、一部のパラメータを変化させますが、 変化させないパラメータもあります。それらのパラメータを変えたいときは、 あらかじめ自分で設定しておいてください。

次に、aselect.clは PSF作成に使う星を選び出すためのスクリプトです。 daofind, phot, pstselectのタスクによって、PSF作成に利用できそうな 星を選びだします。 apstck.clはPSF星として選んだ天体について いろいろなチェックを行う。例えば、 スカイのカウント(変なバックグラウンドを避ける)、 ピークのカウント(明るすぎないように)、 周囲に明るい星がないことなど。 apstmax.clは、ある座標の周囲で もっとも高いカウントともっとも低いカウントの値を調べるスクリプトで、 apstck.clから呼び出されます。 apsf.cl は、選びだされた星を使って、PSFを作成します。 ただし、PSFに使う星以外の天体を抜き去ってからなるべくきれいなPSFを 作ろうとするイテレーションを一度行います。

adetect.clでは、 画像に写っている天体のリストをつくります。 一回目のdaofindで得られた天体を差引いてから、さらにdaofindを行って 天体を検出して、それらを足し合わせたリストにします。 aphot.clは、 今までに得られたPSFと天体のリストを用いて、最終的な測光を行います。 最後にaapcorr.clは、PSFフィットによる等級と アパーチャ等級との差を補正します。

リストの最後にあるautoseq.clは、 apset.clから aphot.clまでを 自動で順番に実行するためのスクリプトです。

作業をいくつかのスクリプトに分けて行っている理由は、 使いたいPSFや天体のリストがすでにわかっているときに、それを利用するためです。 たとえば、psetのパラメータの設定を apset.clとは異なる方法で行いたい場合は、 apset.clを使う代わりに、 自分でパラメータを設定してください。 また、PSF作成に使う天体の座標がわかっている場合は aselect.clの実行が 不要ですし、PSFの画像がすでに得られている場合は apsf.clも省略できます。 そして、測光したい天体のリストがすでにある場合は、 adetect.clを 行う必要がなくなります。


インストール方法

ダウンロード

以下のファイルをダウンロードして、適当なディレクトリに置いてください。 ファイルサイズは約400KBです。
autodao1_4.tar

コンパイル

Unix系の計算機環境でインストールには、まず解凍して、作られたディレクトリで makeを行ってください。

  1. tar xvf autodao.tar
  2. cd autodao
  3. make
これによって、comp_ap_psfとcheck_pstdouble、check_pstnear、check_pstskyという 4つの実行形式がつくられます。

IRAFからのロード

次に、IRAFからautodaoパッケージをロードできるようにしてください。 たとえば、login.clに以下の2行を加えます。

set  autodaodir   = /iraf/extern/autodao/
task $autodao.pkg = autodaodir$autodao.cl
ディレクトリ名はautodaoを展開した場所に合わせてください。 または、/iraf/iraf/unix/hlib/extern.pkgに同じ2行を加えれば、 どのユーザーもautodaoを使えるようになります。

IRAFを起動させて、autodaoとタイプして、

        ########################################
        #  autodao                             #
        #    version 1.4                       #
        #    (c) 2008-2009 Noriyuki Matsunaga  #
        ########################################
      aapcorr  aphot    apsf     apstmax  autoseq  
      adetect  apset    apstck   aselect  
という表示が行われれば、autodaoを使う準備が整いました。 ただし、daophotを利用しますので、daophotもロードしておいてください。 (autodaoを使う前にdaophotとタイプするか、login.clなどでdaophotを ロードするように設定しておく。)


使い方の説明

まず、解析の流れをつかむために、 example1のディレクトリで実際に解析を行ってみましょう。 すでにPSFに使う星や測光したい天体のリストがある場合などは後述することにします。

1. apset.clのステップ

IRAFを起動し、autodaoをロードして、example1のディレクトリに 移動してください。画像が1つ(example.fits)おいてあります。 imexamineなどを使って、FWHMやバックグラウンドを調べてパラメータを 調べて、apset.clを実行します。 example.fitsについては、以下のパラメータを使ってください。 ゲインと読み出しノイズについては、FITSのヘッダに情報がないので、 gainhead=NULL, rnhead=NULLとして、代わりにdataparsの epaduを26.5、readnoiseを78.26としてください。

                                   I R A F  
                    Image Reduction and Analysis Facility
PACKAGE = autodao
   TASK = apset

fimage  =         example.fits  fits image
fwhm    =                   2.  fwhm of the stars
sky     =                 232.  sky value
sigma   =                  6.4  sky sigma
(smax   =               15000.) maximum good data value
(thresh =                   3.) threshold in sigma for detection
(ncomhea=             NCOMBINE) header keyword for Ncombine
(exphead=                EXPOS) header keyword for exposure time
(gainhea=                 NULL) header keyword for gain
(rnhead =                 NULL) header keyword for read noise
(combine=              average) combine method (sum|average|median)
(verbose=                  yes) verbose mode ?
(mode   =                    q)
これらのパラメータを入れて、apset.clを実行すると、
# apset
#   fwhm=2.00  sky=232.00  sigma=6.40  limit=3.0
# No gain header given. effgain=26.5  loaded from datapars.
# No readnoise header given. effrn=78.26  loaded from datapars.
#   ncom=5  exptime=1.600  (combine=average)
#   effrn=78.260  effgain=26.500
#   skymin=193.600  skymax=15000.000  (232.000+-6.400)
という表示が現われて、daophotのパラメータが設定されます。 dataparsなどを行ってみて、パラメータが変更されていることを 確認してみてください。

2. aselect.clのステップ

次に、PSFに使う星を選びます。

au> aselect example.fits pstxy 15000 maxnpsf=30
と実行してください。1番目の引数が入力する画像、2番目の引数がPSFに 使う星のXY座標のリスト、3番目の引数がPSF星で許される最高カウントです。
# aselect
#   fimage=example.fits  npsf=30
        daofind 961
        phot
        pstselect       30
という表示が出てきます。pstselectで30個の天体が選ばれました。 pstxyというファイルに30個の星のXY座標が並んでいます。

3. apstck.clのステップ

                                   I R A F  
                    Image Reduction and Analysis Facility
PACKAGE = autodao
   TASK = apstck
fimage  =         example.fits  fits image
pstlist =                pstxy  name of input list of psf stars
output  =               pstxy2  name of output pstlist
(edge   =                  15.) pixels near edge to avoid
(cksky  =                  yes) check msky value of pst ?
(skylimi=                   3.) limit in check_pstsky
(skyloop=                  yes) loop in check_pstsky ?
(ckmax  =                  yes) check maximum value around pst ?
(maxvalu=               12000.) allowed maximum value around PSF stars
(ckmin  =                  yes) check minimum value around pst ?
(minvalu=                   0.) allowed minimum value around PSF stars
(cbox   =                    5) cbox around PSF stars
(cknear =                  yes) check nearby stars around pst ?
(nearsiz=                   10) halfsize to see nearby stars
(magdelt=                  2.5) limit of mag delta of nearby stars
(verbose=                  yes) verbose mode ?
(mode   =                    q)
apstckでは、いくつかのチェックを行って、PSF星の候補にふるいをかけます。 まず、edgeが正の数の場合、画像の端からedgeピクセル以内にあるPSF星は除きます。 ckskyがyesの場合、phot結果のmskyが他から外れているものを はじきます(check_pstsky)。 そのような星はバックグラウンドが回りの星やネビュラによって 不安定になっていることが多くあります。 次に、ckmaxがyesの場合、その星のピークのカウントが maxvalue以上の星を除きます。これは、明るすぎて線型性が保たれていない星を はじくためです。 次に、ckminがyesの場合、周囲に minvalue以下のピクセルがある星を除きます。 これは、バッドピクセルなどの混入を防ぐためです。 ckminがyesの場合は、cboxピクセル以内にminvalue以下のカウントを持つ ピクセルがある星を除きます。 最後に、cknearがyesの場合、周囲にある程度明るい星が 存在するPSF候補を除きます(check_pstdouble, check_pstnear)。 cksky, ckmax, cknearをnoにした場合は、該当するチェックは行いません。
# apstck
        msky limit=3(sigma)  loop=YES
        pixel value maximum=12000(count)
        pixel value minimum=0(count)
        nearby star limit=10(pixel)
        remove_edge     27 (edge=15.000)
        check_pstsky  27 -> 27  (limit=3 loop=yes mean=232.526 sigma=3.313)
        !! A pst at (98.3, 118.9) has nearby star(s).
        !! A pst at (99.5, 34.5) has nearby star(s).
        !! A pst at (152.0, 26.6) has nearby star(s).
        !! A pst at (107.8, 59.5) has nearby star(s).
        !! A pst at (180.9, 129.6) has nearby star(s).
      (中略)
        !! A pst at (154.0, 4.1) has nearby star(s).
        30 -> 15
17個の星がチェックを通過して、pstxy2という出力ファイルがつくられました。 ds9などの適当な表示ツールを開いておいて、
au> display example.fits 1
au> tvmark 1 pstxy2
とすれば、どの星が選ばれたのか画像の上で見てみることができます。 どの星を使ってPSFを作るかは、daophotによる測光において もっとも重要な要素といっても過言ではありません。 PSF星が画像の端にあったり、非常に明るい星の近くにあったりして、 うまくPSFが作れないときには、floating point invalid operationという エラーが起こることがあるようです。

aselect.clapstck.cl による選択で期待する精度が出なければ、 インタラクティブにpstselectを行って自分で選んでから 次のステップに進むこともできます。 または、ここまでで出来るpstxy2(またはpstxy)をエディタで編集して、 使いたくない星を 除くこともできます。あるいは、既存のカタログなどからPSF作成に 使う星がわかっていれば、それを利用することもできます (こちらを参照)。

4. apsf.clのステップ

それでは、PSFを作成してみましょう。

au> apsf example.fits pstxy2 psf.fits subp.fits twice=no
とタイプして下さい。今度はしばらく時間をかけて計算が行われ、
autodao> apsf example.fits pstxy2 psf.fits subp.fits twice=no
# apsf
#   fimage=example.fits  list=pstxy2
        pstxy2 loaded (num=15)
        phot
        pstselect       15
Trying function gauss norm scatter = 0.03402918
Trying function lorentz norm scatter = 0.03986488
Trying function moffat15 norm scatter = 0.0311921
Trying function moffat25 norm scatter = 0.02524922
Trying function penny1 norm scatter = 0.02713028
Trying function penny2 norm scatter = 0.02716534
Best fitting function is moffat25
        psf
        substar
        daofind 966
        phot
        pconcat 981
        allstar 876
        substar
        phot
Trying function gauss norm scatter = 0.03306643
Trying function lorentz norm scatter = 0.03981444
Trying function moffat15 norm scatter = 0.03092048
Trying function moffat25 norm scatter = 0.0245817
Trying function penny1 norm scatter = 0.02640421
Trying function penny2 norm scatter = 0.02639348
Best fitting function is moffat25
        psf
という表示がなされます。十数個のステップの作業が行われていますが、 とにかく15個の星がpstxy2から読み込まれて、最後にpsfが実行されました。 そして、psf.fitsというPSF画像がつくられました。 seepsfを行って、どのようなPSFが作られたか確かめてみてください。

5. adetect.clのステップ

以上でPSFが作られましたので、天体の検出と測光を行います。 まず、adetect.clを実行して下さい。

au> adetect example.fits psf.fits objmag twice=no edge=3
# adetect
#   fimage=example.fits  psfimage=psf.fits
#   twice=YES  edge=3.0
        daofind 961
        phot
        remove_edge     918 (edge=3.000)
まず、daofindで961個の天体を 検出しました。その後、画像の端から3ピクセル以内の 天体は取り除かれて、918天体が残りました。出力されたobjmagは、 918個の天体についてphotで予備測光した結果になっています。

6. aphot.clのステップ

次にallstarによる測光を行います。

au> aphot example.fits objmag psf.fits result_als result_arj sub.fits
# aphot
#   fimage=example.fits  photfile=objmag  psfimage=psf.fits
        als : result_als=827
        arj : result_arj=91
objmagで与えた819天体について、psf.fitsというPSFを用いた測光を行った結果、 827個の天体の結果がresult_alsに、91個の天体の結果がresult_arjに出力されました。 result_alsとresult_arjは、allstarタスクのallstarfileとrejfileに 対応するものです。

7. aapcorr.clのステップ

最後にPSF等級とアパーチャ等級との差を補正します。

au>  aapcorr subp.fits yes pstxy2 result_als result_alsC annulus=10 dannulus=10 aperture=10 tolerance=2
# aapcorr
#   list=pstxy2
        pstxy2 loaded (num=15)
        phot
        comp_ap_psf (ap=15 psf=1165 Nmatch=14) -> -0.055
        ap - psf = -0.055
        txcalc
apsf.clのステップで作ったPSF星以外の天体を差引いた 画像(subp.fits)について、pstxyで座標を指定したPSF星のアパーチャ測光を行います。 そして、その結果をPSF測光の結果(result_als)と比較すると、Nmatch=15個の 星がどちらの等級も正しく求められていて、その差は-0.055等でした。 そこで、その差をresult_alsに加えてresult_alsCというファイルをつくりました。


autoseq.clの使用について

autoseq.clを使うと、apset.clから aapcorr.clまでの各ステップを自動で 行うことができます。example1のディレクトリで、以下のようにパラメータを設定して 動かしてみましょう。 IRAFでは出力するファイルの名前がすでに存在すると そこでエラーとなってしまうので、 出力ファイルの名前は今までの例と変えてあります。

                             I R A F  
              Image Reduction and Analysis Facility
PACKAGE = autodao
   TASK = autoseq
fimage  =         example.fits  fits image
fwhm    =                   2.  fwhm of the stars
sky     =                 232.  sky value
sigma   =                  6.4  sky sigma
(pstinpu=                   no) input prepared pstlist ?
(pstlist=             pstinput) name of xylist of psf stars
(psfimag=                psf10) name of psf image
(photfil=             objmag10) name of photfile for detected stars
(allstar=         result_als10) name of output photometry file
(rejfile=         result_arj10) name of output rejections file
(subpsfi=          subp10.fits) name of subtracted image with only PSF stars
(subimag=           sub10.fits) name of final subtracted image
(smax   =               15000.) maximum good data value
(thresh =                   3.) threshold in sigma for detection
(twice  =                  yes) execute two daofind in apsf and adetect
(maxnpsf=                   30) the maximum number of psf stars
(ncomhea=             NCOMBINE) header keyword for Ncombine
(exphead=                EXPOS) header keyword for exposure time
(gainhea=                 NULL) header keyword for gain
(rnhead =                 NULL) header keyword for read noise
(combine=              average) combine method (sum|average|median)
(pstchec=                  yes) execute apstck ?
(pstedge=                  15.) zone of avoidance near edge in apstck (pix)
(cksky  =                  yes) check msky value of pst ?
(skylimi=                   3.) limit in check_pstsky
(skyloop=                  yes) loop in check_pstsky ?
(ckmax  =                  yes) check maximum value around pst ?
(maxvalu=               12000.) allowed maximum value around PSF stars
(cbox   =                    5) cbox around PSF stars
(cknear =                  yes) check nearby stars around pst ?
(nearsiz=                   10) halfsize to see nearby stars
(magdelt=                  2.5) limit of mag delta of nearby stars
(apcorr =                  yes) do aperture correction ?
(annulus=                  10.) inner radius of sky annulus in apcorr
(dannulu=                  10.) width of sky annulus in apcorr
(apertur=                  10.) aperture radius in apcorr
(toleran=                   2.) tolerance of matching in apcorr
(verbose=                  yes) verbose mode ?
(mode   =                    q)

パラメータの設定からアパーチャ補正まで、一通りの解析が自動で進んだと思います。 ただし、解析を自動で行う場合には、十分な精度が得られたかどうかを 解析後に確認してください。たとえば、きれいなPSFが作成できたかどうか、 画像に写っている星を過不足無く検出できたかどうかを確かめてみてください。

上の例では、twice=yesとしています。これによって、apsfとadetectの両方で 1回目のdaofindで見つかった星を除いた後の画像で2回目のdaofindを行っています。 このため、検出する天体数が増加します。 最初の例でできたsub.fitsと今回できた sub10.fitsを比べると、より暗い星まで検出して差し引かれていることが分かります。 ただし、PSF星がうまくできていなかったりすると、ひとつの星しかない場所でも 差し引いた後にフラックスが残ったりして、そこに(本来は存在しない)2個目の 天体があると思ってしまったりといったことが起こるようです。 (特に慣れないうちは)作成されたPSFや検出した天体を差し引いたsub.fitsが うまくできているかどうか確認しながら使って下さい。


各ステップのスクリプトを使わない場合について

上述した解析の手順では、各スクリプトが独立したステップの解析を行っている。

apset.clによるパラメータの設定が できない場合

後述する通り、 apset.clは実行時に入力するFWHMやバックグラウンドの パラメータに基づいて、daophotのパラメータ群 (pset)を設定します。 たとえば、fitskyparsのannulusをFWHMの4倍、dannulusを3倍 の値にします。それらの値を違うやり方で設定したい場合は、 apset.clを書き換えるか、apset.clは使わずに設定してください。 apset.clはdaophotのパラメータを設定するだけなので、 手作業などで適当な値に設定すればapset.clを実行しなくても それ以下のステップに進めます。

また、画像の積分時間やゲイン・読み出しノイズのキーワードを与えて、 ヘッダから読み出すようにしています。また、複数の画像を足し合わせた画像の 解析をするときに、その枚数をNCOMBINEというヘッダから読み込みます。 これらの値はキーワードをNULLとすれば1と仮定しますが、 それ以外の値を指定したいときはapset.clを使わずにパラメータを 設定する必要があります。

PSFに使用する天体がわかっている場合

PSFに使用する天体の画像上でのピクセル座標がすでにわかっている場合は、 そのXYをリスト(pstlist)にして、apsf.cl から始められます。

いくつかのフィルターで同じ領域を撮った画像や、同じ領域を繰り返し 観測した画像がある場合に、共通の星からPSFをつくるために使用する星の赤道座標を 保存しておくと役に立ちます。(ただし、各画像にwcsが入っていることが必要。) そのためには、aselect.clなどで 選んだ座標のリスト(pstxy)を、

wcsctran pstxy pstwcs image world logical formats="%13H %13h"
として、赤道座標がリストされているファイルpstwcsを作っておいてください。 逆に赤道座標をピクセル座標に直す場合もwcsctranが使えます。 各天体のピクセル座標をリストにしたファイルを使えば、 apsf.clから始められます。
wcsctran pstwcs pstxy image world logical units="hours native"

測光したい天体のリストがすでにある場合

測光したい天体の座標がわかっていれば、adetect.cl を省いて測光が行えます。aphot.clにインプットする ファイルのフォーマットはphotの結果のものなので、測光したい天体の 座標のリストを使ってphotを行い、それをaphot.cl に入力してください。


各スクリプトの説明

apset.clの説明

apset.clのパラメータは以下の通りです。

apset.clは上述のパラメータに基づいて、 daophotのpsetを以下のように設定する。 ただし、右辺の値はapset.clのパラメータで設定された値である。


aselect.clの説明

pstselectでpsf作成に使う天体(以下、PSF星と略す)を選択して、 そのxy座標をリストアップする。

aselect.clのパラメータは以下の通りです。

aselect.clが行う解析の手順は以下の通りです。

  1. daofind : 入力画像に写っている天体を検出する。
  2. phot : 前ステップで検出された天体の簡易測光を行う。
  3. pstselect : 前ステップの簡易測光を元にPSF作成に使う星を選ぶ。


apstck.clの説明

apstck.clは、check_pstdouble, check_pstskyとcheck_pstnearというC言語で書かれた プログラムを利用しています。

あるPSF星候補の周囲の最大最小を調べるのには、 apstmax.clを用いています。


apstmax.clの説明

あるピクセルの周囲でもっとも高いカウントともっとも低いカウントを調べます。


apsf.clの説明

PSF作成に使う天体のxy座標のリストを入力して、PSFの画像を作成します。

apsf.clのパラメータは以下の通りです。

apsf.clが行う解析の手順は以下の通りです。

  1. phot : 入力されたPSF用天体の簡易測光を行う(LIST1)。
  2. pstselect : 前ステップの簡易測光を元にPSF作成に使う星の確認を行う。
  3. psf : 第一回目のPSF作成を行う(PSF1)。
  4. substar : PSF星を入力画像から抜き取る。
  5. twice=yesの場合は以下のステップでさらに非PSF星を検出して差し引く。
    1. daofind : PSF星を除いた画像に写っている他の星を検出する。
    2. phot : 前ステップで検出された天体の予備測光を行う(LIST2)。
    3. pconcat : LIST0とLIST1を合成する(LIST3)。
    4. allstar : PSF1を用いて、LIST3の天体を測光する。
    5. daofind : 前ステップで出力される引き算後の画像に残っている天体を検出する。
    6. phot : 前ステップで検出された天体の予備測光を行う(LIST4)。
    7. pconcat : LIST3とLIST4を合体させる(LIST5)。
    8. allstar : PSF1を用いて、LIST5の天体を測光する。
    9. substar : 入力画像から、PSF星以外のLIST5天体を差し引く。
  6. phot : 以上のステップで出来た差引き後の画像で、PSF星の簡易測光を行う。
  7. psf : 差し引き画像でPSF作成を行う。


adetect.clの説明

入力画像に写っている天体を検出して、そのリストをつくります。

adetect.clのパラメータは以下の通りです。

adetect.clが行う解析の手順は以下の通りです。

  1. daofind : 第1回目の天体検出(LIST1)。
  2. phot : 検出したLIST1天体の予備測光。
  3. twice=yesの場合は以下の手順で再度天体を検出する。
    1. allstar : LIST1天体の測光を行い、それを差し引いた画像を出力させる。
    2. daofind : 引き算後の画像に残っている天体を検出する(LIST2)。
    3. phot : 検出したLIST2天体の予備測光。
    4. pconcat : LIST1とLIST2を合体させる(LIST3=output)。
  4. pselect : edgeに正の数が与えられている場合は、画像の端に近い天体を取り除く。


aphot.clの説明

検出された天体のリストを使って測光を行います。 aphot.clが行う基本的な作業は、今までつくってきたファイルを使ってallstarを 実行することだけです。

aphot.clのパラメータは以下の通りです。


aapcorr.clの説明

aapcorr.clは、PSFフィットで求めた等級の開口補正を行うためのスクリプトです。 PSF作成に利用した星の開口等級をaphot.clで得たallstarファイルの等級と 比較して、その差を加えます。そのために、PSF作成に利用した星以外を差引いた画像 (apsf.clで作られたもの)にphotタスクを施して開口等級を求め、comp_ap_psf.cを 利用して補正値を導出します。

aapcorr.clのパラメータは以下の通りです。

aapcorr.clが行う解析の手順は以下の通りです。

  1. (apsf : subtracted=noのときは、apsf.clを呼んで、PSF星以外を差し引いた画像を作る。)
  2. phot : PSF星だけが残っている画像で、PSFのアパーチャ測光を行う。
  3. comp_ap_psf : アパーチャ測光とPSF測光のずれを求める。
  4. txcalc : 求めたずれを補正する。
入力する画像がPSF星以外の天体を差し引いたもの(apsf.cl で出力されるsubimage)になっているときは、subtracted=yesにしてください。 そのような画像が存在せず、もともとの測光すべき画像を入力するときは subtracted=noにすることで、aapcorr.clの中でPSF星以外の天体の差し引きを 行います。解析を行う前からPSF画像がすでに手元にあって、apsfを 行う必要がないようなときのために、上記のような選択を行えるようにしました。

aapcorr.clは、comp_ap_psfというC言語で書かれた プログラムを利用しています。


autoseq.clの説明

autoseq.clは、 apset.clからaapcorr.clまでを 続けて実行します。設定するパラメータは、各スクリプトで必要だった パラメータです。PSF星を選ぶかファイルとして与えるか、 PSF星のリストの自動チェック(apstck.cl)を 行うかどうか、アパーチャ補正を行うかどうか等もyes/noで選ぶようになっています。


daophotのパラメータ

以下にdaophotの6つのpsetをリストアップする。 apset.clで設定するパラメータは下線付きの太字で強調してある。それ以外のパラメータは、apset.clを実行しても 変更されないので、eparamなどを使って自分で設定した値がそのまま使われる。 下線付き太字のパラメータapset.cl とは異なるやり方で設定したいときは、スクリプトを使わずに 自分で設定する必要がある。(あるいはapset.cl を書き換える。) 各パラメータの詳しい意味については、ヘルプを参照してください。

findpars

threshold4.0Threshold in sigma for feature detection
nsigma1.5Width of convolution kernel in sigma
ratio1.0Ratio of minor to major axis of Gaussian kernel
theta0.0Position angle of major axis of Gaussian kernel
sharplo0.2Lower bound on sharpness for feature detection
sharphi1.0Upper bound on sharpness for feature detection
roundlo-1.0Lower bound on roundness for feature detection
roundhi1.0Upper bound on roundness for feature detection
mkdetectionsnoMark detections on the image display ?

datapars

scale1.0Image scale in units per pixel
fwhmpsf2.5FWHM of the PSF in scale units
emissionyesFeatures are positive ?
sigma0.0Standard deviation of background in counts
dataminINDEFMinimum good data value
datamaxINDEFMaximum good data value
noise"poisson"Noise model
ccdread""CCD readout noise image header keyword
gain""CCD gain image header keyword
readnoise0.0CCD readout noise in electrons
epadu1.0Gain in electrons per count
exposure""Exposure time image header keyword
airmass""Airmass image header keyword
filter""Filter image header keyword
obstime""Time of observation image header keyword
itime1.0Exposure time
xairmassINDEFAirmass
ifilter"INDEF"Filter
otime"INDEF"Time of observation

centerpars

calgorithm"none"Centering algorithm
cbox5.0Centering box width in scale units
cthreshold0.0Centering threshold in sigma above background
minsnratio1.0Minimum signal-to-noise ratio for centering algo
cmaxiter10Maximum iterations for centering algorithm
maxshift1.0Maximum center shift in scale units
cleannoSymmetry clean before centering
rclean1.0Cleaning radius in scale units
rclip2.0Clipping radius in scale units
kclean3.0K-sigma rejection criterion in skysigma
mkcenternoMark the computed center

fitskypars

salgorithm"mode"Sky fitting algorithm
annulus10.0Inner radius of sky annulus in scale units
dannulus10.0Width of sky annulus in scale units
skyvalue0.0User sky value
smaxiter10Maximum number of sky fitting iterations
sloclip0.0Lower clipping factor in percent
shiclip0.0Upper clipping factor in percent
snreject50Maximum number of sky fitting rejection iteration
sloreject3.0Lower K-sigma rejection limit in sky sigma
shireject3.0Upper K-sigma rejection limit in sky sigma
khist3.0Half width of histogram in sky sigma
binsize0.10Binsize of histogram in sky sigma
smoothnoBoxcar smooth the histogram
rgrow0.0Region growing radius in scale units
mkskynoMark sky annuli on the display

photpars

weighting"constant"Photometric weighting scheme
apertures"3"List of aperture radii in scale units
zmag25.00Zero point of magnitude scale
mkapertnoDraw apertures on the display

daopars

function"gauss"Form of analytic component of psf model
varorder0Order of empirical component of psf model
nclean0Number of cleaning iterations for computing psf
saturatednoUse wings of saturated stars in psf model computation
matchrad3.0Object matching radius in scale units
psfrad11.0Radius of psf model in scale units
fitrad3.0Fitting radius in scale units
recenteryesRecenter stars during fit ?
fitskynoRecompute group sky value during fit ?
groupskyyesUse group rather than individual sky values ?
sannulus0.0Inner radius of sky fitting annulus in scale units
wsannulus11Width of sky fitting annulus in scale units
flaterr0.75Flat field error in percent
proferr5.0Profile error in percent
maxiter50Maximum number of fitting iterations
cliprange2.5Bad data clipping exponent
clipexp6.0Bad data clipping range in sigma
mergeradINDEFCritical object merging radius in scale units
critsnratio1.0Critical S/N ratio for group membership
maxnstar10000Maximum number of stars to fit
maxgroup60Maximum number of stars to fit per group

トラブルシューティング

特に無し。何か問題に気づいた方は 松永 までお知らせ下さい。


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autodao : scripts for automated photometry with IRAF/DAOPHOT
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