概要
太陽系が存在する銀河系では、天の川と呼ばれる円盤状の領域にほとんどの恒星や星間ガスが集まっています。これまで、星間ガスの観測から円盤の外側がふくれ上がるフレアと呼ばれる構造が知られていましたが、そこに恒星が存在するかどうかやその分布についてはわかっていませんでした。
今回、東京大学の松永典之助教と南アフリカ・ケープタウン大学のマイケル・フィースト名誉教授らの研究チームは、フレア領域に存在している恒星を世界で初めて発見しました。発見した5つの恒星は、セファイド変光星という種類の天体で、宇宙の中で距離を測定するためにさかんに用いられる「宇宙の灯台」とも呼ばれるものです。これらの天体は、いて座あるいはへびつかい座の方向に太陽系から6~10万光年の距離に位置しています。いずれも天の川と呼ばれる円盤状の領域からは3千光年以上離れており、これまでに知られていたセファイド変光星が高さ1千光年以内の円盤領域に集中している点で大きく異なります。
天の川がふくれ上がる様子(フレア)は、銀河系の外側の暗黒物質の分布によって決まると考えられており、今後これらの天体や同じような場所にある恒星を詳しく調べることで直接観測することが不可能な暗黒物質の分布に迫ることができると期待されます。
報道
natureasia.com 特集記事
財経新聞
アストロアーツ
マイナビニュース
レスポンス
Scientific American (英文)
space.com (英文)
NewScientist (英文)
UCT Monday Paper (英文)